2023年5月25日 廣畑研、渡辺研の小講座合同で新入生の歓迎会を行いました。

 

廣畑研と渡辺研とで構成される小講座である分子病態・循環生理学講座の合同飲み会が開催されました。近年はコロナで飲み会が自粛ムードで新入生の歓迎会もなく、寂しい限りでしたが、ようやく開催することができました。普段から合同カンファなどして学生同士も交流が深かったですが、より親密になれてなによりです。新入生のみなさん、これから頑張ってください!


2023年5月22日 MitraClipの勉強会に大学院生と参加しました。

 

5/20 (土)に共同研究をしている福山のクリニック主催のMitraClipの勉強会が行われ、渡辺研と廣畑研の大学院生5名と共に、勉強会に参加しました。MitraClipは重症の僧帽弁閉鎖不全症に適用される弁置換が難しい患者に行われる近年注目されているカテーテル治療です。後半は臨床検査技師から企業へと転職した講師の経験談を拝聴しました。

 

大学院生も非常に積極的に質問してくれて、大変有意義な勉強会となりました。帰りは遅くなったので、みんなでラーメンを食べて帰りました!みなさん、おつかれさまでした。


2023年5月20日 大学院修了生の本間くんの論文が、Experimental Biology and Medicineにacceptされました。

 

今年2023年3月にこの研究室の博士前期課程を修了した本間くんの研究論文が、Experimental Biology and Medicineにacceptされました。本論文は肝臓の鉄沈着によって鉄特異的な選択的オートファジーの一つであるフェリチノファジーがNASHを悪化させることを証明したものになります。IFが4.0以上とレベルの高いジャーナルにacceptされたことは喜ばしい限りです。本間くんも大学院のわずか2年間でよくここまで仕上げてくれました。おめでとうございます!研究内容は以下のとおりです。

 

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非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝硬変や肝細胞がんを引き起こす非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の進行型です。鉄は体内で必須の微量元素ですが、過剰な鉄は組織の損傷や機能障害を引き起こす可能性があります。NASH患者では鉄過剰症がしばしば観察され、肝臓に蓄積された鉄の量はNASHの組織学的重症度と正の相関があります。鉄依存性細胞死の新しい形態であるフェロプトーシスは、過酸化脂質と酸化ストレスの蓄積によって引き起こされ、NASHに関連しています。また、フェロプトーシスは、細胞内の自己分解プロセスであるオートファジーと密接な関係があります。オートファジーは多くの有益な効果を持ちますが、フェロプトーシスを誘発するなど、生体にとって有害な場合もあります。鉄過剰症がオートファジーを介してNASHを悪化させるかどうかは不明です。本研究の目的は、鉄の過剰摂取がオートファジーを介してフェロプトーシスを誘導し、NASHを悪化させるメカニズムを明らかにすることです。脳卒中易発症性自然発症高血圧ラット(SHRSP5/Dmcr)を2群に分け、高脂肪・高コレステロール(HFC)食を8週間摂取させました。Fe群にはHFC食に加え、鉄デキストランを投与した。血液分析、組織染色、カルシニューリン活性測定、定量的逆転写(RT)-PCR、免疫蛍光染色、電子顕微鏡検査を実施しました。その結果、鉄過剰症は転写因子EB(TFEB)の核内転位を介してオートファジーを促進し、フェリチンを自食作用で分解するフェリチノファジーを誘導することが明らかになりました。また、HFC食は、脂質滴の自食作用による分解であるリポファジーを誘導しました。Fe群ではフェロプトーシスが促進され、肝炎、線維症が悪化したことが示されました。つまり、鉄過剰摂取はフェリチノファジーとリポファジーを促進し、フェロプトーシスを介してNASHの病態を悪化させることがわかりました。これらの知見は、オートファジーとフェロプトーシスを阻害することによるNASH治療の可能性を示しています。

 

 


2023年5月10日 山元助教の論文がAnnals of anatomyにacceptされました。

 

この研究室の大学院生でもあり、助教でもある山元くんの博士学位論文がAnnals of anatomyにacceptされました。本研究は、NASHに付随する骨格筋の機能低下 (サルコペニア) が私たちの持つSHRSP5/dmcrラットでも起こりうることを証明してくれました。High impact journalから狙いに行ってなかなか苦戦が続きましたが、最後には博士後期課程の短期修了に間に合って良かったように思います。おめでとう、よく頑張りました!研究内容は以下となります。

 

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二次性サルコペニアは、寝たきり状態、肝疾患、糖尿病などの病気の結果として発症します。しかし、二次性サルコペニアの根本的なメカニズムや治療法を検討するための動物モデルは不足しています。近年、二次性サルコペニアは非アルコール性脂肪肝炎の予後と関連することが指摘されています。そこで、本研究では、非アルコール性脂肪肝炎の動物モデルであるSHRSP5/Dmcrラットが二次性サルコペニアのモデルとして有用であるかどうかを検討することを目的としました。

 

その結果として、HFC食を与えたSHRSP5/Dmcrラットは非アルコール性脂肪肝炎を発症し、骨格筋、特に速筋の萎縮がみられ、非アルコール性脂肪肝炎の進行により筋萎縮が悪化することが示されました。一方、HFC飼料を与えたWKY/Izmラットでは、サルコペニアは認められませんでした。

 

したがって、本研究は、SHRSP5/Dmcrラットが、非アルコール性脂肪肝炎に伴う二次性サルコペニア障害のメカニズムを研究するための有用な新規モデルとなる可能性を示唆しています。

 


2023年5月1日 大学院修了生の柿本さんの論文がJournal of Applied Biomedicineにacceptされました。

 

大学院を修了した柿本さんの修士論文が、Journal of Applied Biomedicineにacceptされました。本研究は、比較的新しいキサンチンオキダーゼ(XO)阻害薬Febxostatの作用に関する論文です。彼女は着実にコツコツと英語論文としてまとめてくれたのが印象的で、この努力が実ったことが今後の自信に繋がるのではないかと思います。たとえ臨床に出ても論文の書き方は共通しています。ぜひ、臨床研究でも論文成果を出してくれることを願っています。おめでとう!研究内容は以下となります。

 

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キサンチンオキシダーゼ(XO)は、尿酸生成時に活性酸素を発生させます。そのため、酸化ストレスを抑制するXO阻害剤は、尿酸の減少を介して非アルコール性脂肪肝炎(NASH)や動脈硬化の治療に効果的であると考えられます。本研究では、脳卒中易発症性自然発症高血圧5(SHRSP5/Dmcr)ラットを用いて、XO阻害剤フェブキソスタットのNASHおよび動脈硬化に対する抗酸化作用について検討しました。

 

SHRSP5/Dmcrラットを3群に分けました。 SHRSP5/Dmcr+高脂肪・高コレステロール(HFC)食[コントロール群、n=5]、SHRSP5/Dmcr+HFC食+10%果糖(40mL/日)[果糖群、n=5]、SHRSP5/Dmcr+HFC食+10%果糖(40mL/日)+febuxostat (1.0mg/kg/日)[febuxostat 群、n=5]。グルコースおよびインスリン抵抗性、血液生化学、病理組織染色、内皮機能、および酸化ストレスマーカーを評価しました。

 

結果として、Febuxostatは、血漿尿酸値を低下させました。酸化ストレス関連遺伝子はフェブキソスタット群でフルクトース群に比べ低下し、抗酸化因子関連遺伝子は上昇しました。フェブキソスタットは、肝臓の炎症、線維化、脂質の蓄積も改善しました。中腸の脂質沈着は動脈で減少し、大動脈内皮機能はフェブキソスタット群で改善されました。

 

結論として、XO阻害剤フェブキソスタットは、SHRSP5/DmcrラットのNASHとアテローム性動脈硬化症に対する保護作用を発揮しました。

 


2023年4月27日 大学院生・助教の山元くんの論文が、Can. J. Physiol. Pharm.にacceptされました。 

 

大学院生・助教の山元くんの論文がCan. J. Physiol. Pharm.にacceptされました。新しい知見が多く、限られた実験結果で証明しなければならず、なかなか苦労しましたが、acceptされてその苦労が報われて良かったと思います。本当におめでとう!!研究内容は以下となります。

 

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肝臓X受容体(LXR)は、コレステロール輸送体を増強し、アテローム中の泡沫細胞から過剰なコレステロールを除去できる可能性があります。LXRには2種類のサブタイプがあり、 肝脂質蓄積を悪化させるLXRαと、悪化させないLXRβがあります。2018年、LXRβ特異的アゴニストの可能性があるとして、ウアバゲニン(OBG)が報告されました。我々は、OBGが非アルコール性脂肪肝炎(NASH)においてLXRβに特異的に作用するか、肝脂肪症を悪化させず、動脈硬化の発症を抑制できるかを検討することを目的としました。高脂肪・高コレステロール食を与えたSHRSP5/Dmcrラットを以下の4群に分けました: (I)L-NAME群、(II)L-NAME/OBG群、(III)OBG(-)群、(IV)OBG(+)群。全群のラットにL-NAMEを腹腔内投与しました。その結果、すべてのラットがNASHを発症しましたが、OBGは脂肪症を悪化させませんでした(L-NAME/OBG群およびOBG(+)群)。また、L-NAME/OBG群では内皮細胞が保護され、OBG(+)群ではアテローム内の泡沫細胞が減少しました。したがって、OBGはLXRβ特異的アゴニストであり、肝臓への脂質蓄積を発症することなく、動脈硬化の治療効果が期待できることがわかりました。

 


2023年4月10日 新しく卒業研究配属された4年生と大学院生の懇親会を開催しました

 

今年も渡辺研に5人の卒研生が配属されました。今年の4年生はみんな明確な目標を持っており、留学に興味がある人、外部の大学院に進学して自分の興味がある研究に邁進したい人など、個性派が揃いました。今日は午前中に今年1年の研究計画を教員から聞いたのち、ピザやケーキを囲み、楽しい親睦会となりました。これから頑張りましょう!


2023年4月3日 渡辺准教授が今年度も研究科長補佐に継続任命されました

  

 

 

前年度に引き続き、渡辺准教授が研究科長補佐役に継続任命されました。

 

任用内容は変わらず、

「外部評価委員会の運営・開催」

「遺伝子カウンセラー大学院コースの設置」

となります。

 

特に後者のミッションは、学会認定を得るところからクリアしなければならず、非常に困難な道のりとなりますが、関係者各位の協力のもと、実現に向けて頑張らなければいけません。