2023年3月24日 今年も無事に卒業式が行われました。

 

今年も無事に学部生と大学院生が卒業されました。この度は本当におめでとうございます。毎年、恒例となった研究室内の写真撮影では、学部生からお世話になった教員と大学院生にプレゼントをもらい、大変温かい気持ちとなりました。大学院生の本間くんも卒業前に高IFのJournalに投稿し、現在、under reviewにまで回るなど大活躍をしてくれました。みなさんのこれから益々のご活躍を祈念しております。


2023年3月22日 大学院修了生の藤井さんの論文がCurrent Nutrition and Food Science に acceptされました。

 

当研究室を昨年卒業した藤井さん(現:愛媛県立医療技術大学 助教) の論文が、Current Nutrition and Food Science に acceptされました。

 

非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は、メタボリック シンドロームの危険因子に関係なく、心血管疾患 (CVD) のリスク増加とよく関連していますが、NASH と CVD の間の中間因子は不明のままです。 近年、高尿酸血症は痛風だけでなく、高血圧、慢性腎不全、メタボリックシンドロームなどの他の臓器疾患との関連性も指摘されています。 高尿酸血症は NASH 患者に頻繁に発生することが示されており、CVD の危険因子である可能性があります。 さらに、血清尿酸 (UA) レベルは、フルクトース摂取と関連しています。そこで私たちは、フルクトース負荷が UA レベルを上昇させ、酸化ストレスを介して NASH とアテローム性動脈硬化症を悪化させるという仮説を立て、動物実験によってそれを実証しました。

 

 

卒業後、1年間rejectが続き、掲載に時間がかかりましたが、最後はminor revisionに留まり、非常に高評価のうえのacceptとなりました。revise期間1週間のなか、藤井さんは大変よく頑張ってくれました。一つの論文がacceptされるまでに、多くの努力が必要だということがわかってくれたと思います。引き続き、愛媛県立医療技術大学でも助教として頑張ってくれると期待しています。


2023年2月1日 超音波検査士コースの一期生の佐藤いくみ助教が、超音波検査士認定試験(循環器領域)に合格しました。

 

当研究室の超音波検査士コースの一期生として入学した佐藤いくみさんが、無事に超音波検査士認定試験に合格しました。コースの立ち上げ当初は、週に2回ほどの研修で5年間の就業期間のうちに間に合うのかという不安もありましたが、本人の努力はもちろん、研修先の連携病院の先輩技師さま方の熱心な指導のおかげで、合格したのだと思います。佐藤いくみ先生には、後輩の良い手本として、臨床と研究の両面で活躍できる指導者を目指して欲しいです。本当におめでとう!!


2022年12月20日 渡辺准教授が痛風・尿酸財団の研究助成に採択されました。

 

数々の前向き大規模試験の結果、血清尿酸値は心血管疾患の他にも非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の独立した危険因子になることも示唆されています。特にアジ ア諸国に多い「痩せ型」NASH 患者では、血清尿酸値が独立した危険因子となることがメタ分析で示され、特に痩せ型体型患者のNASH の有無に尿酸値が有用でした。高尿酸血症は、NASHをはじめとするメタボリックシンドロームの二次的なマーカーにすぎないと考えられてきましたが、尿酸値だけではなく酸化ストレスの低減にも関与するキサンチン酸化還元酵素(XO)阻害は、痩せ型 NASH や心血管疾患の両方に奏効する可能性があります。

 

私たちは「痩せ型」NASH モデル動物である SHRSP5/Dmcr ラットに、高フルクトース・高脂肪食を負荷することで、NASH 増悪に加えて、尿酸産生上昇、動脈脂質沈着、インスリン抵抗性および内臓脂肪蓄積を惹起させることに成功しました。このモデルに対し、XOR 阻害剤のフェブキソスタットを投与した後、 動脈脂質沈着や肝線維化、炎症などを評価し、NASH および動脈硬化の進行が抑制されるか検証します。

期待される成果として、世界的に多い肥満型 NASH ではインスリン抵抗性の改善が有効であるとされていますが、痩せ型 NASH ではその程度が低く、有用な治療ターゲットが見つかっていません。本研究によって尿酸低下がアジアに多い痩せ型 NASH の治療介入に役立つことが 期待されます。


2022年10月3日 当研究室の佐藤いくみさんが岡山大学検査技術科学分野の助教に着任しました。

 

当研究室の大学院生の佐藤いくみさんが自分の母校である岡山大学検査技術科学分野の助教に着任しました。彼女は当研究室の博士後期課程および超音波検査士育成コースの第一期生として、非常に優秀な成績を修めており、大学院の早期修了や認定資格の取得など精力的に頑張ってくれました。学部の卒業研究から渡辺研究室の研究に尽力してくれており、指導者として非常に誇らしく思います。これから良い先輩、教員として後進の教育に邁進してくれることを願っています。


2022年9月9日 当研究室の学部生が京都大学大学院医学研究科に合格しました。

 

当研究室の学部生が無事に京都大学大学院の医学研究科に合格しました。この学生は兼ねてからよりレベルの高い環境で研究を行ってみたいと意欲が高く、臨床よりも企業の研究職に興味があると聞いていました。本当であればこの研究室で頑張ってほしいという本音は抑えつつでしたが、京都大学の医学研究科で世界最先端の研究を学んでほしいと思います。一生懸命に大学院の試験勉強をしていると聞いていましたので、夢が叶ってよかったですね。後輩の学生たちも周りに流されず、自分の信じる道を突き進んでほしいです。


2022年9月5日 当研究室の卒業生の柿本さん、藤井さんが日本育英会の奨学金の全額免除、半額免除に選出されました。

 

当研究室の大学院博士前期過程を2022年3月に終了した柿本さん、藤井さんが日本育英会の奨学金の半額免除、全額免除に選出されました。彼女たちはちょうど在学期間にコロナ最盛期で、動物実験も途中で止まったり、現地での海外学会にも連れて行けず、国内学会も不開催やオンライン開催などが続き、また業績においても研究室内で学位の都合で論文調整時期に入っており、大変な混乱期にあったように思いますが、無事に免除となったことを大変嬉しく思います。大学院生にとって経済的な状況を少しでも和らげてあげることが大事なことだと感じています。彼女たちの残した英語論文をacceptさせてあげることが最後の宿題です。


2022年9月5日 渡辺研究室の論文がacta medica okayamaにacceptされました。

 

SHRSP5/Dmcr は、高脂肪および高コレステロールの食事を与えることによって非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) の病状の発症に役立つ動物モデルであり、以前にもNO合成酵素阻害によって心血管疾患につながる可能性があることを報告しました。 SHRSP5/Dmcr ラットは、NASH に関する基礎研究に広く使用されていますが、胆汁酸代謝については不明です。 本研究では、胆汁酸画分の変化を明らかにすることを目的としました。その結果、NASHや心血管疾患の悪化に伴い、グリシン抱合型および非抱合型胆汁酸が増加することがわかりました。


2022年7月25日 日本動脈硬化学会にて修士2年生の本間くんが発表しました。

 

7月23、24日に福岡県久留米で行われた日本動脈硬化学会にて、修士2年生の本間くんがポスター発表しました。演題名は「鉄代謝はNASHと動脈硬化を結ぶ新たなリスク因子となりうるか」でした。大変落ち着いた発表で、安心して聴くことができました。座長の先生からはこれからの実験の課題をアドバイスいただき、より良い研究に発展させたいと思います。大学院生も博多や久留米のグルメや観光地を巡って楽しんで帰ったようです。


2022年6月20日 本間くんが学部生向けに企業就職の体験談を話してくれました。

 

当研究室所属の博士前期課程2年生の本間くんが、自身の経験を基にして、企業就職について学生向けにプレゼンをしてくれました。

企業就職を目指すうえでの重要なポイントを余すことなく抑えた、非常に分かりやすいプレゼンでした。

一般コースの院生は日々の研究で活躍してくれており、当研究室は彼らに支えられています。

その筆頭が本間くんですが、プレゼンの上達も大学院で彼自身が努力し続けてきた結果です。

後輩の学生の良い指標になる存在だと思います。


2022年6月17日 佐藤さんの論文がPharmacological reportにacceptされました。

 

数ヶ月前に提出していた博士後期課程2年生の佐藤いくみさんの論文が1度のreviseの後、無事にacceptされました。本論文は以下のようにNO合成酵素阻害薬でなぜ血中コレステロールが増加するかについて言及しています。インパクトファクターも3.0を超しているため、博士短期修了の権利を得たことになります。苦労して頑張ってきた甲斐がありましたね。おめでとうございます。

 

**************

背景:非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、心血管疾患(CVD)と密接に関連する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の進行性サブタイプです。一酸化窒素(NO)は、さまざまな生物学的プロセスの制御において重要な役割を果たします。 NOシグナル伝達経路の機能不全は、アテローム性動脈硬化症、血管炎症性疾患、糖尿病などのさまざまな疾患に関連しています。最近、NOが脂質とコレステロールの代謝に関係していることが報告されています。慢性NO合成酵素(NOS)阻害は、肝脂質沈着を増加させることによりNAFLDを加速します。ただし、NAFLD/NASHにおけるNOと異常な脂質およびコレステロール代謝との詳細な関係は完全には説明されていません。 NOS阻害剤であるNオメガ-ニトロ-L-アルギニンメチルエステル塩酸塩(L-NAME)によるNOS阻害が、脂質およびコレステロール代謝を介してNASHおよびCVDに及ぼす影響を調べることを目的としました。

方法:脳卒中を起こしやすい自然発症高血圧ラットに高脂肪および高コレステロール食を8週間与え、最後の2週間にL-NAMEを投与しました。血液および組織のサンプリングに続いて、生化学的分析、組織病理学的染色、定量的RT-PCR分析、およびウエスタンブロッティングを実施しました。

結果:L-NAMEは、TG合成と食事からのコレステロール吸収を促進することにより、肝臓トリグリセリド(TG)とコレステロールレベルを著しく増加させました。 L-NAMEは肝臓の炎症マーカーと線維性領域のmRNAレベルを増加させました。肝臓からのコレステロール分泌は、血清コレステロールを増加させるL-NAMEを投与されたラットで促進されました。 L-NAMEは、動脈の酸化ストレスマーカーと脂質沈着のレベルを大幅に増加させました。

結論:NOS阻害は、肝臓の脂質代謝とコレステロール代謝を介して、NASHとアテローム性動脈硬化症を同時に悪化させます。

***************


2022年4月11日 新年度のメンバーおよびHPの更新

 

3月に修士2年の柿本さん、藤井さんが無事に卒業して寂しくなりましたが、新しく中山さん、桐原くんが研究室に入ってきてくれました。特に中山さんは超音波検査士コースに入学し、5年をかけて臨床と研究とに打ち込むことになります。研修先の病院の技師さんにも大変よくしてもらっているようです。桐原くんも、岡大循環器内科での研究協力にも従事しながら、研究に注力する充実した2年間にしてもらいたいと思います。今年もよい卒研生に恵まれて大変助かっています。みなさん、目標に向かって頑張ってください。


2022年4月1日 当研究室の藤井さんが愛媛医療技術大学の助教に着任しました。

 

2022年3月に当研究室を卒業した藤井さんが、この4月に無事に愛媛医療技術大学の助教に着任しました。彼女は、とある企業に内定を得ていましたが、急遽、大学教員の推薦の話が舞い込み、内定を得るに至りました。おめでとうございました。彼女は在学時から非常に研究に意欲的で、海外学会での英語での口頭発表にチャレンジしたり、修士論文を英語で投稿したりと、非常に優秀な学生でした。今も修士論文を海外ジャーナルに投稿している最中です。これからは、少し専門が変わり、微生物の研究を始めることとなりますが、きっとその分野でも頑張ってくれると信じています。

写真左:柿本さん、右:藤井さん


2022年3月25日 卒業式で研究室挨拶にきてくれました。

 

毎年、恒例となりましたが、学位授与式後に卒業する学生たちが挨拶に来てくれました。特に大学院生は2年間一緒に苦楽を共にしてきました。藤井さんは4月から大学教員として、柿本さんはかねてから第一希望だった病院への就職が決まり、二人とも夢を叶えてくれて大変嬉しく思います。また、病院就職をする卒業生もそれぞれの職場で活躍してくれると思います。また、渡辺研に進学する桐原くん、中山さんはこれからもよろしくお願いしますね。



2022年4月11日 渡辺先生の科研費基盤Cが採択されました。

 

昨年は惜しくも基盤Bに落選してしまいましたが、今年は安全に基盤Cを狙い、無事に採択されました。本研究は、非アルコール性脂肪肝炎と動脈硬化性疾患を仲介する共通したリスク因子として鉄代謝に焦点を当てたもので、近年発見されたフェロトーシスという新しい細胞死の成因を突き止めます。研究者にとって、科研費の獲得は何より励みになります。


2022年2月10日 共同研究者の篠畑先生の論文がBiochimieにacceptされました。

 

共同研究者の篠畑先生の論文が、Biochimieにacceptされました。高脂肪/高コレステロール(HFC)食餌は、高コレステロール(HC)食餌ではなく、動物モデルで血清アポリポプロテインE(apoE)に富む高密度リポタンパク質(HDL)レベルの上昇を誘発することが知られています。ただし、食事脂肪とコレステロールの組み合わせがapoEリッチHDL産生を誘発する正確なメカニズムはよく理解されていません。本研究では、HDL産生、コレステロール輸送、および胆汁酸代謝に関連する血清リポタンパク質プロファイルおよび肝mRNA発現に対する食餌性脂肪およびコレステロールの影響を調査しました。オスのSprague-Dawleyラットに、HFC、HC、高脂肪、または対照食餌を与えて評価したところ、HFC食はHC食と比較して、肝臓の遊離コレステロール蓄積(1.4倍、p <0.01)および血清apoEに富むHDLコレステロール(8.7倍、p <0.001)レベルの有意な増加を誘発しました。HFC食によって誘発されたapoEに富むHDLは、遊離コレステロールが著しく豊富でした。肝臓の遺伝子発現は、HCとHFCの食事グループ間でほとんど類似していました。これらの結果は、食事脂肪とコレステロールによって誘発されるapoEに富むHDLの増加が、ABCA1を介した遊離コレステロール流出の増加を通じて肝臓からのコレステロール流出に関与している可能性があり、食事脂肪とコレステロールによって誘発されるapoEに富むHDLの増加が、ABCA1を介した遊離コレステロール流出の増加を通じて肝臓からのコレステロール流出に関与している可能性があることを示唆しています。

 

accept、おめでとうございます!